こんにちは。カジル編集部です。
2018年の冬より宇都宮大学の教授から、カジル編集部は農業について学んでいます。
【ハダニの研究について -園田教授- 】
https://kajiru.world/article/vol19
【サムサノナツハオロオロアルキを科学の力でチャレンジする -夏秋教授- 】https://kajiru.world/article/vol20
そして今回は、新品種野菜の生みの親、房教授から農業について学んできます。
2019年1月宇都宮大学に到着。
新品種の野菜の生みの親、房教授にお会いできることになり興奮気味のカジル編集部。ただ時期が冬。新品種の野菜を見ることは難しいだろうと考えていると、房教授の部屋に到着しました。
がちゃ。
:「こんにちは、カジル編集部です。本日はよろしくお願いします!」
:「こんにちは、カジルさん」
お名前:房(ばん)教授 / 農学博士 / 生物資源学科
:「まずは、カジルさんお茶でも飲んでください」
挨拶が終えるとすぐに房教授が珈琲をいれてくれました。
:「温まります。房教授は宇都宮大学でいつから研究をされているんですか?」
:「韓国の大学卒業後、1年間東京で日本語の勉強をし、平成2年から宇都宮大学で研究を始めました」
:「なぜ、宇都宮大学に決めたんですか?」
:「研究をするなら海外がよいと思っていました。私は育種の研究をしたいと考えていた時に、アブラナ科種・属間交雑育種研究の宇都宮大学4代目教授と話をしてここで研究をしようと決めました」
:「房教授は、アブラナ科種・属間交雑育種研究の7代目房教授なんですよね?」
:「そうですね。この研究室は、70年以上のアブラナ科種・属間交雑育種研究の歴史があります。新品種の野菜は、属間交雑後、胚救済培養法と染色体倍加法の蓄積された知識や技術を用いてつくりました」
:「70年以上の歴史、そしてなんだか話が難しくなってきました……」
:「この資料を使いながら説明しますね。そうだろうと思いまして、資料を作っておきました笑」
カジル編集部の為に房教授は資料を作成してくれていました。資料を見ながら房教授の説明を聞くカジル編集部。……でも、難しいです笑
:「房教授、話についていくのが厳しいです……。要する研究の大枠としては、AとBと属が異なるものから新しい品種をつくるということでしょうか?」
:「簡単にいうとそうですね笑 では、実際に新品種の野菜があるハウスへ行きましょう」
:「えっ、この時期に新品種の野菜がまだあるんですか!?」
なんとなんと!!冬の時期でも、新品種の野菜がハウスで育てられているとのこと。喜んでいるカジル編集部。ただ長靴に履き替え颯爽と歩き出した房教授。カジル編集部は追いかけていきます。
:「宇都宮大学では敷地内に畑やハウスがあるんですね」
:「植物の観察は定期的に行う必要がありますし、冬の時期は少ないのですが、水をあげたり雑草をとったり環境を整えていくので、畑が近くにあるは重要なんことなんですよ」
:「房教授は自らもそういった作業もしているんですか?」
:「していますよ笑 それと、『私はあなたが〇〇〇のように育ってほしいんだ』と植物に声をかけて自分がこうなってほしいというイメージを伝えたりしています」
新品種の野菜をつくるためには研究室で実験や論文を読むだけでなく、観察、水やりや草むしり、そして植物に声かけて自分の思いを伝える。そこまでしなければ新品種の野菜はうみだされないんですね。
:「着きましたよ。ここが、新品種の野菜があるハウスです」
がちゃ。待ちに待った瞬間が訪れました。
:「おっー!これが新品種の野菜、“チンゲンルッコラ”と“ケールッコラ”ですね」
新品種の野菜とは、”チンゲンルッコラ”と”ケールッコラで”した。ただどれが、チンゲンルッコラでケールッコラだか見当がつきません。
:「すみません……チンゲンルッコラとケールッコラはどれでしょうか?」
:「そうですよね。これが、チンゲンルッコラです」
◇チンゲンルッコラ
:「チンゲンルッコラはハリと厚みがありますね」
:「そしてチンゲンルッコラの母親がチンゲンサイ、父親がワイルドルッコラです」
〇チンゲンサイ
△ワイルドルッコラ
:「カジルさん、では、どうぞ」
と目の前にあるチンゲンルッコラをポキット折りその葉を渡されたカジル編集部。もちろんそのまま頂きました。
:「(モグモグモグ)あっ、甘みがありますね!そして噛めば噛むほど、より深い甘みがでてきて美味しいです!」
:「それは良かったです。では、これがケールッコラです」
◆ケールッコラ
:「ケールッコラは葉の色がケールに似ていますね」
:「ケールッコラの母親がケール、父親がワイルドルッコラになります」
●ケール

△ワイルドルッコラ
そして房教授からお決まりのフレーズを頂きました。
:「カジルさん、では、どうぞ」
とチンゲンルッコラに引き続きケールッコラを頂くカジル編集部。
:「(モグモグモグ)最初にくるのはケールの味ですね。噛むとケールの味が強くなっていきますが、強すぎるという感じではありません」
:「あれ、房教授?」

房教授もケールッコラを食べています。
:「チンゲンルッコラ、ケールッコラは市場に出るまでどれくらいの年数がかかったのですか?」
:「10年以上は研究でかかりましたよ。現在市場に出て約3年が経ちました」
:「10年以上ですか!?」
:「そうですね。そして新品種の野菜をつくる時には10年先を見るのではなく、20年30年先を考えなければならいなんですよ。新品種の野菜ができるその時代はどういったニーズがあるのか、社会変化を予測して、その時代に求められる野菜はなにかと想像してつくるんですよ」
:「今から新品種の野菜をつくるとなると、2039年を予測してつくる……想像がつきません」
:「それだけはないんですよ。病気に強く肥料や栽培特性を考慮されるだけではなく、種が効率よく採れなければなりません」
:「なるほど、いかに求められる野菜であっても種が効率的に採れなければ消費者は買うことができませんし、購入金額が高くなってしまいますよね」
:「そうなんです。そこで私は、種苗会社、農家、消費者のトライアングルがいかにつくれるかを考えています」
:「と言いますと?」
:「種苗会社が販売し、農家が育て、消費者が食べる。売ってよし、つくってよし、食べてよしの『三方よし』のトライアングルが形成できることが大切だと考えています」
:「また、最近は人生100歳時代と言われていますよね。健康に最適な量を過度に意識せずに食べ続けることも大切だと考えています」
:「そこで、新品種の野菜に機能性野菜と呼ばれるルッコラを取り入れたんですね」
:「ルッコラは機能性野菜と呼ばれていますが、和食になじみにくいといわれていました。そこで、健康志向の拡大を予測し、和洋中の食材に適した新品種の野菜づくりを考えたんです」
:「新品種をつくるのは大変だと容易に想像できるのですが。正直、途中で研究を辞めたくなる時はありませんでしたか?」
:「ありませんよ。我の研究室でこの新品種の野菜ができなければ、いったいどこができるのかというプライドを持ち、どんな困難にも向かっていき解決していきました」
房教授カッコいい。
:「そうだ、もしよければ、私の研究室の学生から話しを聞いてみるのはどうですか?」
:「貴重な経験ですので是非お願いします!では研究室にいってみます。房教授、今日はありがとうございました」
:「カジルさん、今日はありがとうございました」
カジル編集部はハウスを後にして、房教授の学生がいる研究室へ。
がちゃ。
:「こんにちは、カジル編集部です!」
と挨拶をすると3人の学生がテーブルに集まってくれました。そして房教授と同じようにカジル編集部のために資料を作ってくれていて、種・属間交雑育種研究室で行っている研究を分かり説明してくれました。
左:山口さん(修士2年生) 中央:岡田さん(3年生) 右:大森さん(3年生)
カジル編集部は「みなさんは、日本の農業にどう関わっていきたいですか?」と質問すると3人からはこんな答えをもらいました。
「100歳まで生きる時代に求められる機能性野菜をつくる」山口さん(修士2年生)
「売れる=高付加価値のある野菜をつくり農家さんの売上げに貢献する」岡田さん(3年生)
「新しい野菜をつくる」大森さん(3年生)
そうなんです!房教授の研究室にいる学生さんは、志も高く前向きで自分の目標をしっかりと立て、“私が日本の農業を盛り上げる!”という気持ちが話からも伝わってくるんです。カジル編集部これからの日本の農業がとても楽しみになりました。3人の学生さん、ありがとうございました。
【取材を終えて】
新野菜のチンゲンルッコラ、ケールッコラを目にすることだけでなく生で食べられる貴重な経験もできました。房教授の話を聞いているとなんだか胸が熱くなってきました。言葉だけでなく行動し結果を出し必ずやり遂げるという房教授の“プライド”。カジル編集部、農家さんの取材をすると大きく実をつけた果実野菜幾度となくを目にしますが、たくさん人の情熱と努力があってこの光景に辿りつけるんだと思いました。
最後になりますが、房教授は次なる新野菜の研究に取り組んでいることを教えてもらいました。特別に資料を少しだけお見せします!



