突然ですが皆さん、「農機具屋さん」ってピンと来ますか?農家と農機具メーカーにとって欠かせない存在らしいのですが、あまり耳慣れないですよね。一体ナニをしているの……?

真相を知るべく、カジルライターの小百合が栃木県にある「髙松農業機械サービスセンター」さんに突撃してきたっぺよ!

スプリング・ハズ・カム。4月は始まりの季節だわ。

私の新年度のテーマは、ズバリ☆キャリアウーマン。カジル界隈ではすっかり芸人ライターとして定着しているけれど、この春からはイメージチェンジ!雑誌から読者モデルのスカウトが来たらどうしよう……!

小百合さ~ん!

こんにちは、小百合さん。どうしたんですか?その格好……。

ごきげんよう、るうかちゃん。今日は機械系の会社の取材と聞いたから、春のオフィスカジュアルで決めてみたの。取材先はIT系?それともメーカーかしら?

……あちらの会社です……。

\\服まちがえた……!//

~髙松農業機械サービスセンター~

こんにちは~!髙松さん、今日はよろしくお願いしまーす♪

良く来てくれましたね!どうぞ入って!

髙松 勉さん

販売から修理まで。創業50年の農機具屋さん

え~っと……農機具屋さんって、農機具を売っているお店ですよね。

販売だけでなく、修理などもやっています。農機具はここ10年でものすごく進歩していて、昔のイメージとは全然違いますよ。ドローンや自動運転のトラクターやヘリコプターもあるんですから!

ドローンも!こちらのお店は創業何年ですか?

もう50年になります。私は2代目で、私が継いでからは30年ですね。正直、はじめは継ぎたいとは思ってなかったんですけれど(笑)。

そうなんですか?そもそも私、今まで農機具屋さんの存在を知りませんでした。

この辺はそこらじゅうにありますよ。でも、うちは他の農機具屋に比べて圧倒的に「プロ農家」とのお付き合いが多いんです。ツワモノというか、大物というか、とにかくレベルが高い農家さんが多いですね。

他の店は約300軒の農家をお客さんとして抱えますが、うちは150軒くらい。それでも1軒の規模が大きいから、むしろこれ以上は持てないんです。

1軒の農家さんとの関係が密接そう……。

農機具って常に修理が付きまとうから、お客さんとの密接度が非常に高いんです。農家さんは、アフターフォローのことまで考えた上で、どの店から農機具を買うか決めていますよ。
ちなみにうちは、1700万円の農機具の注文も電話一本。「アレ取っといてくれ」の一言(笑)。

そんな高価な買い物を電話で!?ものすごい信頼関係ですね……。

信頼関係ができるまでは大変ですけどね。先日も、田んぼのあぜ道で「アレ取っておいてくれ。1000万円のやつ」って。普通の買い物じゃ考えられないでしょ?(笑)

ありえないです(笑)。

農業界のJAF?呼ばれたら現場に急行!

アフターフォローは、どんなことをするんですか?

様々なメンテナンスですね。部品の破損、油漏れ、機械が動かなくなったなど、諸々です。お客さんから「今あそこの道路にいるんだけれど、トラクターの部品が落ちちゃった。1キロ先まで渋滞しているから今すぐ来てくれ!」といった電話が来ることは日常茶飯事。農業界のJAFみたいなモンですから、気分的には休まらないですね(笑)。堆肥がのっている機械の下にもぐって修理することもあります。

大変……!それ、髙松さんお一人でやっているんですか?

もちろん私一人です。それに、自分でやらないと身にならないですから。

はじめはどのように技術を身につけたんですか?

学校を卒業後、メーカーで1年間研修して、その後個人の農機具店で1年間研修しました。基本的なことは教えてもらいましたが、あとは現場経験からですね。お客さんには本当に助けられて、色んなことを教わりました。今でも、プロ農家さんと話していると面白くて、気付いたら夜中になっていることもありますよ!

ステキな関係!髙松さんのお客さんは、どんな作物を育てているんですか?

栃木県の農家は大体が米と麦ですが、この辺りはいちごや野菜を育てている農家が多いですね。米だけで生計を立てている農家は数人しかいないです。従業員30人以上、売上1億円以上の農家さん、千疋屋や首脳会議に出している敏腕農家さんもいます。

うちは農機具屋の中でもお客さんが扱う品目が多い方で、米・麦・大豆・そば・いちご・ネギ・キャベツ・トマト・ナス・シクラメン・蘭・酪農と多彩です。そのぶん、扱う農機の種類もすごく多いんですよ。

ハウス用の機械とかも必要ですもんね。農家さんは何歳くらいなんですか?

今は代替わりしているから、皆さん若いですよ。下は20代、最高でも63歳。「若い人に負けないぞ!」って、こっちも刺激されますよ(笑)。

お互いに得るものがあって、良い関係なんですね~♪

農家同様、農機具屋も減少傾向

農機具業界に問題ってありますか?

後継者問題が深刻で、数が激減していることですね。これからも農機具メーカーは残ると思いますが、農機具屋はどんどん減って行くと思います。というのも、昔はお客さんを何百人も抱えられたけれど、今は農家自体が激減しているので、農機具屋はうまくやらないと商売にならないんですよ。
農家の数は減っているけれど、そのぶん一農家あたりの規模がものすごく大きくなっています。「これからは、1人の農機具屋が10軒農家を抱えれば食べていけるだろう」と言われているくらいです。

ふむふむ。

そうすると、扱う機械の種類も多くなるし、一軒にかかる時間と労力が膨大になるから、これまで以上に農機具屋と農家ががっちりパートナー関係を組まなくてはなりません。今は機械が大型化しているから、これまで以上に重労働になりますよ。

業界に革命が起きるんですね……。でも、農機具屋が減っちゃったら、農家さんは困りますよね。

かなり不便だと思いますね。急にネジが1本必要になったら、わざわざ服を着替えてホームセンターに行くことになりますが、その店が機械に合うネジを売っていないこともあります。

その点、農機具屋があれば、泥だらけの格好で財布も持たずに「ちょっとネジないかな?」って来ることができる。特にうちは売った農機の部品はストックしてあるので、お客さんとしては圧倒的に便利なんじゃないかな。

修理のこともあるし、農機具屋さんは必要不可欠な存在ですよね。ちなみに髙松さん、一日どれくらい働いているんですか?

暇なときは7時から18時、忙しいときは5時から20時くらいまでです。土日も連休もないし、ブラック企業みたいなモンですよ(笑)。経営をちゃんとしていればお金にはなるけれど、重いし汚れるし大変ですね。

そうなんですね。難しい問題だなぁ……。

今は農家が減っているぶん、農地がどんどん増えているから、面積を増やしたい農家にとってはチャンスなんです!うちのお客さんはアグレッシブだから、「みんなどんどん辞めてくれ。うちがその農地を借りて、新しい農機具を入れるから!」って言っていますよ(笑)。作業を機械化すれば、能率が何十倍にもなりますからね。

なるほど、考え方ですね!

お客さんからは、「俺に一番合う機械を持ってこないとダメだぞ」って言われています。土質、地形、規模、すべてに合う機械を選んでさしあげることが私の仕事なんですよね。農機具屋は、農業のことも全部分かっていないと農家さんから相手にされないですから、農業の本質や根本的なことを日夜勉強し続けています。

農業のコンサルタントでもあり、農機具のソムリエでもあり、って感じなんですね!

農機具屋のやりがいはプライスレス☆

印象に残っているエピソードはありますか?

以前、北海道でしか使っていない珍しい機械を売ったことがあったんです。お客さんが上手く使えなくて、一カ月間毎日、朝から晩まで、お客さんのところで作業を手伝ったことがありました。

え~!それは大変でしたね!

私には売った責任がありますから、最後までしっかり見させていただいています。それに、農機って作物と共にあるものなので、作物の状態に合わせて常に調整が必要なんですよ。大変ですけれど、それをクリアしたときは「良かったな!」って思います。ハッキリ言ってそこは採算度外視ですね(笑)。

そんな髙松さんだからこそ、リピーターが多いんでしょうね~♪

農機具屋って、お金じゃないんですよ!それ以外の部分にものすごく面白みがあるんです!事業をやる上では最終的にお金も大事だけれど、それだけを考えていたら何もできないですね。

私は「できるだけ早く直してあげよう、できるだけ安くしてあげよう」ってスタンスでやっているだけ。お客さんがどう思っているかは分からないけれど、リピーターが多いことは一つの答えなのかもしれないですね。

これからも農家さんと共に成長!

髙松さんもお客さんと一緒に楽しんでいるのが伝わってきます!最初は大変な仕事だな~と思って聞いていたから、良いお話しが聞けて勝手に嬉しくなりました(笑)。

あはは。あとね、うちは農機具の「実演会」を頻繁に開催しているんです。この辺りでは珍しい機械、本州では第一号の機械も多いんですよ。今の機械は本当にハイテクだから、私も楽しくて(笑)。

髙松さん、これからやりたいことはありますか?

今後は農機具の枠を飛び出して、農業の勉強会もやっていきたいですね。例えばいちごって、同じ面積でも育て方によって収量が3倍から4倍も変わるんですよ。だから、周辺のいちご農家さんに向けて育成方法の勉強会をやれたらと。私の勉強にもなりますしね。

髙松さん、本当に上昇志向がお高い!

あのね、農機具の技術は進歩しているけれど、作物の生態は何も変わっていないんです。農業に関わる色んなことは進化していても、原点は何も変わっていない。このことを忘れてしまったら、すぐに限界が来ると思います。農業は難しいですが、入り込んでいくとめちゃめちゃ面白いですよ!

髙松さんのメッセージが皆さんに届いて、農機具屋さんを継ぐ人が増えたら嬉しいな~!

あはは、そうですね!それじゃあ、実際に機械を見にいきましょうか。

今の農機具はハイテク&ダイナミック!

これは「トラクター」、土を耕す機械です。これは20年くらい使っているものだけど、最新のトラクターはエアコン完備で自動運転もしてくれるんですよ。

ほほう。ではちょいと失礼して……ヨイショ。

(……デ○ズニーランドのパレードをイメージしているな……)

わわわ、なんか来た!

これは「田植え機」、苗を植える機械です。2019年に購入した最新のもので、GPSを搭載しています。自動で直線をキープしてくれるんですよ。価格は500万円くらいです。

上にチョコンと乗っかっているのがGPSですね。GPS、私の人生も真っすぐ誘導してくれたら良いのになぁ。

人生をねぇ……。

そして、あの奥にあるのは「コンバイン」。稲刈りをして、藁(わら)をカッターで裁断して、米を脱粒(だつりゅう)する機械です。

ずいぶん大きいなぁ。

車体がグイっと上がって、斜めに動いたりします。1700万円くらいしますが、消耗が激しいから5年でダメになるんですよ。

5年で!?おおお、お尻が下りてきた!

わわわ、今度は前傾姿勢!

最後は「ホバークラフト」、田んぼに農薬を撒く機械です。ラジコンで操作すると、水面をスイスイ滑ります。1分間で30a(3000㎡)に撒けますね。

いやぁ~農機具のイメージがガラリと変わりました!髙松さん、今日はありがとうございました~!

またいつでも遊びに来てくださいね!農家さんも紹介するよ!

新年度もカジルでハジケるわよ♪

るうかちゃん、農機具屋さんのこと知れてヨカッタね。

はい。私たちが毎日おいしいお米や野菜を食べられるのは、農機具屋さんあってのことですもんね。農家さんを応援するのと同じように、これからは農機具屋さんも応援していきましょう!

だね~!

ところで小百合さん、その格好、もしかしてキャラチェンジ狙ってました?

そ、そんなわけないじゃ~ん!今日はたまたまだよ、たまたま!これからも芸人ライターとしてやっていくから、よろしくねっ!

あはは、ですよね~!

あはは…‥はは‥‥ああああっ!!

さ、小百合さん?大丈夫ですか?!

るうかちゃん、大丈夫。芸人ライター的に美味しすぎるオチだわ!これで大地のパワー注入!新年度もハジケて行くわよ!

……クリーニング代はカジルで持ちますね……。

~こうしてキャラチェンジへの夢は遠ざかった小百合。果たして次はどんな取材が待ち受けているのか?!次回もお楽しみに!~

髙松農業機械サービスセンターについて

住所:栃木県真岡市東大島750‐4

TEL:0285-84-0694

この記事を書いた人

小百合:「住食人」がテーマのインタビューライター。今は埼玉県在住だが、以前栃木県に住んでいたことがあり、今でも頻繁に足を運ぶほど栃木愛が強い。2019年7月からカジルに参加。趣味はダイエット(再コミット中)、好きなものは人とお酒。
https://www.instagram.com/an_sayu/