日頃から多くの農家さんを特集しているカジルは、若手農家さんと触れ合う機会も多くあります。その中で疑問に思っていたのは「若手農家さんは、今の農業をどう考えているんだろう?」ということ。今回は、その疑問を解決するために、栃木県農業大学校出身の若手就農者3名に座談会をしていただくことにしました。希望いっぱいに農業ライフを歩み始めた彼らが考える、農業の今とこれからとは。ライターの小百合がお届けします。

3人の若手就農者が集結!

小百合皆さ~ん、はじめまして!今日は集まってくれてありがとうございます!まず、自己紹介をお願いします!

 

 

谷畑谷畑健司(ヤハタ ケンジ)です。農業歴は5年で、トマトをつくっています。

 

手塚手塚脩平(テヅカ シュウヘイ)です。私は個人農家ではなく、「株式会社コバヤシファーム」の社員として農業に携わっています。今年で4年目、農場長を務めています。作っている農産物は、小松菜、ほうれん草、ネギです。

篠原篠原貴大(シノハラ タカヒロ)です。農業歴は1年、トマトを作っています。

それぞれの熱意を持って農業の道へ

小百合(え~!皆イケメン!ナウい青年たち!なんか、小百合ちょっと動揺!笑)

小百合みっ、皆さんフレッシュ感ありますね~!どのような経緯で農業を始めたんですか~?

谷畑私は実家が農家で、父の背中をみて「かっこいいな」と思ったことがきっかけでした。父が育てたトマトは、トマト嫌いでも食べられると評判なので、私もそういうトマトを作りたいと思って。自分が作ったトマトを買ってくれる方と触れ合える機会もあるので、お客様との繋がりを大切にできる魅力的な仕事だなと。それで、農業高校に進みました。

手塚私の実家は兼業農家で、お米を育てています。幼少のころ、父が田んぼの水を見に行くのについて行っていて、農業が身近な存在だったんですね。それで、自然と農業高校、農業大学に進みました。農業を学ぶ中で、「これからは米を作るだけでは食べていけないな」と悩んでいたのですが、たまたま授業の研修で扱った葉物野菜に魅了されて。その研修でお世話になったのが、今勤めている「コバヤシファーム」だったんですよね。

篠原私は、今日のメンバーの中で唯一、普通科高校出身なんです。実家はトマト農家ですが、私自身は農業に興味がなかったんですよね。ですが、高校時代に進路に迷っているとき、同じく栃木県農業大学校出身の父が「農大は栃木の北から南まで仲間ができるし、卒業した今でも仲良いぞ」と話してきて。それで「面白そうな学校だな」と思い、農大に進みました。いざ実習でトマトを育ててみると、自分が植えたトマトが赤くなるのが嬉しくて、初めてトマトに「カワイイ」という感情が芽生えました。農大卒業後、アメリカと国内で農業研修をし、研修終了と同時に実家のトマト農家に就農しました。

 

若手就農者が考える農業の現状

小百合ふむふむ。皆さん、まだ農業を始めたばかりということですが、今の栃木の農業事情をどう感じています?良い点、悪い点……。

篠原割と若い人が頑張っている印象ですね。非農家から入ってくる人も多く居ますよ。

手塚そうそう、色んな人が居るよね。ちょっとぶっ飛んでる人も居るし(笑)

谷畑そうだね。でも、栃木だけでなく、全体的に農業に関わる人は減っている。とにかく、担い手不足は深刻だよね。

 

手塚うん。そもそも、農業の認知度が低いんですよね。私は会社員なので、人材を集めないといけないのに、募集を出しても志望者が来ないんですよ!

谷畑実家が農家じゃない人は、どうやって農業に携われば良いか分からないんだよね。もともと土地がないので、将来が描きにくく、本当はやりたいのに諦めてしまう。

手塚そうそう、それ!ホントもったいないよね!!ライバルが減っているわけだから、やりたい人にとってはチャンスでもあるのに。

 

篠原農業の資材の値段が高いことも問題です。そもそも農業人口が少ないために、資材の需要が少ないことが理由のひとつだと思うのですが…。例えば、消毒は詰め替え用がないので、都度ケースごと買わなくてはいけない。無駄な経費だと感じるものが多いですね。

谷畑うん。値段の話でいうと、県外野菜に地元野菜の価格が押されていて辛いです。トマトひとつ見てみても、熊本産のトマトが急成長していて、栃木県にも沢山入ってきている。今年は特に大変だったんですよ。

篠原あと、天候に左右されることの不安定さも、大きな悩みです。農業は天気に動かされる仕事なので、いざという時のリスクが大きい。特に最近、異常気象じゃないですか。今はこれで成り立っていても、これから起こる災害や価格変動があると思うと、正直不安です。10年後のイメージがつかない…。

 

小百合うーん、なるほど。皆さん、すでに色々な問題や課題を感じているんですね…。

 

農業問題を解決するには

小百合どうしたら、これらの問題を解決できると思いますか?皆さんのような若手が新しい風を吹かせれば、何か変わりそう!

手塚まず「担い手不足」についてですが、私のように、自営業でなく雇用就農という方法もあることを広げていきたいですね。実は私、入社当初は独立を目指していたのですが、自分でイチから始めるのはリスクが大きいなと。その点、雇用就農なら会社がバックにいるので安心です。家族やパートナーのことも安心させられるし、結婚などの人生プランが描きやすいメリットもあります。私のように、実家が専業農家じゃないからと躊躇している人を集めたいし、サラリーマンのカテゴリーに農業を入れ込みたい。

 

谷畑農業高校とかで講演して、雇用される形もあるという情報を提供するのも大事だよね。

手塚実は既に、出身高校で講演しているんですよ。「若い人に農業に興味を持ってもらうためには、何が必要なのだろうか」と日々考えています。足りないものは、お金なのか、休みなのか…。もっと自分の会社の制度を整えて、規模を大きくして、沢山の従業員とイキイキと農業をして、さらに雇用を生んでいきたいです。

谷畑躊躇している人には、「補助金制度」があることも知って欲しいですね。就農者のやりたいことが今の農業にとってプラスになると認められれば、資金を貸してもらえるシステムがあるんですよ。「明確にやりたいことがあるのに、お金が足りない」という人は、是非利用して欲しいです。

篠原こうして農業人口が増えて需要が増えてくれば、資材の価格も下がるかもしれないですね。

 

小百合なるほど~。全ての問題は繋がっているんですね~。あと、天候によるリスク回避についてですが、水耕栽培ってどう思います?結構ニュース番組とかでも取り上げられていて、流行っていますよね。

篠原それも良いとは思いますが、私は土にこだわりたいんですよね。

手塚根拠はないけど、土の方が良い味になる気がするよね。もちろん科学的に栽培するのもアリだけど、自然な形ではないので、どうもしっくりこなくて。

谷畑私も土にこだわりつつ、栽培効率は上げていきたいので、今後プランター栽培に挑戦したいと思っています。プランター栽培は、畑の土に直に植えるのではなく、プランターを並べてそこに植える方法です。少し高い位置で栽培できるので、水害を避けられるし、畑よりも使う土の量が少なくて済むんですよ。

 

篠原環境制御などを取り入れて、農業を見える化して、安定させる方法もありますね。

小百合ほ~!問題は沢山あるけど、解決方法も沢山ありそうですね!ヨカッタ!!!

手塚はい。まあ、何はともあれ、まずは情報を発信しないとね!SNSを上手に使っている農家さんもいますが、あれも今風でアリですよね。会社のインスタグラムを作ってみようかな!

 

篠原私はFacebookをやっていますが、全然更新していないですね…。今後はもっと、生育風景や商品の情報、自分の農業への考え方をコンスタントに投稿していきたいです。積み重ねれば、うちのトマトの歴史を知れる記録にもなると思うので。

谷畑自分の名前で商品を選んでもらうためにも、どんどん発信して行きたいですね。

 

若手就農者、農業の未来を語る

小百合なんか、イイ話沢山聞けてます~♪最後になりますが、皆さんの今後の展望や目標を教えてくれますか?

谷畑やる気のある若者が沢山いるので、もっと農業を盛り上げていきたいです。小さいところからかもしれないけれど、他の農家と違うことをやって、良い意味で目立っていきたいなと思います。そうすることで、世の中の農業に対する目も変わっていくんじゃないかな。やってみて初めて分かることも多いので、改善を重ねながら、トマト嫌いな人が食べられるトマトづくりを極めて、一年一年収量を上げていけたらと思っています。

 

手塚農業に夢を与えたい!農家は、人間に欠かせない食べ物を作っているわけですから、社会の大事な部分を担っているスゴイ仕事なはずです。医者と同じくらい憧れられる存在にしたいですね。そのためには、まず認知度を上げて、農業人口を増やしていきたい。今の「農業は家族でやるもの、朝早い、肉体労働、不安定」というイメージを変えていきたいです!

篠原最近はテレビのバラエティ番組でも農業が扱われるなど、昔から言われている3K(キツイ・汚い・危険(給与低い))の概念が徐々に変わってきていると感じています。若い人たちは頭が柔らかく、発想力があるので、アイデアを実現できる環境を作っていきたいです。まだまだ若手農家には面白い人が沢山います。「遠回りが近道」ってこともあると思うので、色々なチャレンジをしながら、みんなで栃木の農業を盛り上げていきたいですね!

手塚そうだね。あ、あと私、会社でやりたいことがあるんです、今は生食で出していますが、ゆくゆくは冷凍やカット野菜などの「加工」にも挑戦したい。地域の小学校や保育園の給食にも提供して、地域に還元していきたいです。そうすれば、道をトラクターで走っていても、「自分の子供の小学校に野菜を届けてくれている農家さんだ!トラクターを優先して運転しよう」って思ってもらえるでしょ?(笑)

 

谷畑トラクター問題あるよね(笑)。畑以外だと、私は今、近隣の保育園に行ってお餅つきをしたり、イモほりをしたり、ひまわり畑を作る活動をしています。都会の保育園では体験できないことがここでは体験できるので、小さいうちから自然を体感し、農業にも興味を持ってもらえるような活動を続けていきたいです。

篠原畑以外でやりたいこと、私もあります!農業フェス!フェスがやりたいんです!海外研修中に、オレゴン州のポートランドで、とっても賑わっているファーマーズマーケットを見たんですよ。ミュージシャンが演奏して、テントもオシャレで、ただ歩いているだけで気分がいい。将来絶対に、東京とかで人を沢山集めて、友達のDJとかも呼んで、実現したいです!

 

小百合フェス!絶対やりましょう!その時は、カジルも呼んでくださいね♪ 全力で歌って踊ります!皆さん、今日はお忙しい中ありがとうございました~!

 

 


 

「【座談会】若手就農者が考える、農業の今とこれから」をお届けしました。いかがでしたか?目をキラキラさせながら、熱意たっぷりに語ってくださった様子が印象的で、眩しすぎました。彼らのような就農者が支える栃木の農業の未来が、とっても楽しみです!谷畑くん、手塚くん、篠原くん、改めてありがとうございました!

 

 

◆この記事を書いた人

小百合:「住食人」がテーマのフリーライター。

今は埼玉県在住だが、以前栃木県に住んでいたことがあり、今でも頻繁に足を運ぶほど栃木愛が強い。2019年7月からカジルに参加。趣味はヨガ、ダイエット(コミット中)、料理(と言いたい)、お酒。

カジリスト

篠原 貴大

とまとのしのはら / 小山市

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